イタリアのレザータイルの会社へ行ってみたら、ほんとにレザーだらけだった!(その2)
2017年5月7日
Anonimo Designがイタリアから輸入している2種類のレザー製品のもう一つ、「studioart」は、壁用のレザータイルだ。
前のブログで紹介した「nextep/ネクステップ」は分厚いオスのレザー(ブル)で主に床に使うのに対して、studioartは柔らかなメスのレザー(カウハイド)が主流。ヨーロッパの大手「メゾン」御用達の上質なレザーは、ハイクオリティーかつラグジュアリー。工場に入ると、シャネル、イヴサンローラン、ディオール、コーチなどなど、有名どころの名前が振られたレザーを見ることができ、お店で見るカバンなどの商品の源流を見たような気になる。
実はstudioart社はMontebello(モンテベッロ社)という大手のレザー生産会社の中のいわば社内ベンチャーのように生まれた。上記の工場も、実はMontebello社のもので、主にファッション用のレザーを生産するMontebelloは、原皮から最終加工までをすべて社内で行える、世界で5社のうちの1つだ。Montebelloグループの中にはレザーの加工機械を製作、販売する会社(Gemata社)まであるのだから、あらゆる先進的なレザーはここから生まれると言っても過言ではない。その流れを汲んだstudioartは、ファッションとインテリアを繋ぐ、レザー業界のパイオニアだ。
広~い敷地の工場の中は写真がNGなので残念ながら皆さんにはお見せできないが、機会があればご案内するのでご連絡を。その敷地の一番奥にstudioartのショールーム兼事務所がある。ここのボスはMontebello社の社長(フランコ)の姉、Nadia dalle Mese(ナディア)だ。彼女は元々建築家で、ディベロッパーとして不動産業も経営する傍らstudioartを2006年に立ち上げた。Montebelloで培われたファッションとレザーの経験が、建築家的センスと出会ってstudioartは生まれたのだ。
中に入るとあらゆるものがレザーで出来ている。レザータイルを張り付けた扉の家具や、引き出し収納
ソファーにクッション。クッションには刺繍が施されて(Ricamo/リカーモ)、新たな製品が常に生まれ続けている。
座り心地はとてもよく、ついつい撫でてしまう、、、足元にはラグカーペット。こちらはハラコ調に仕上げた(Rodeo/ロデオ)というレザーを使っている。
新商品のパネルも展示されていて、こちらは「semitondo/セミトンド」という名前のタイル。丸くふっくらとした印象を持たせるが、実はこの曲線にパッドを入れるためには特注の機械から作ったとのこと。非常に時間と手間がかかっている。
こちらはマッシュルームというレザー。表面のを非常に薄い刃で裂くように切り込みを入れたもので、まさにキノコのヒダのように羽を広げるタイプ。パッドを入れて使用すると魅力がよくわかる。
レザータイル/レザーウォールの世界は世に生み出されてまだ10年ちょっとしか経っていないけれども、レザーそのものは有史以前から長~い歴史を持って人間と深い関係で繋がってきたものだ。ヨーロッパと日本ではインテリアを取り巻く環境も違ってくるかもしれないが、日本でもきっと、今より目にする機会が増えてくるに違いない。どのようなシーンで、どのように使われていくのか、今から楽しみだ。
<お知らせ>
Anonimo Design東京、福岡各ショールームでは、ご覧頂いたレザータイルの実物がそろっています。
実物はより迫力があるので、是非気軽に見にいらしてくださいね。